相続が発生したら
相続手続きはどこから始めたらいいの?
ご家族やご親族がお亡くなりになられた後は、様々な手続きを行う必要があります。
当事務所では、よく下記のようなご相談をいただきます。
「相続手続きを何から始めたらいいか分からない」
「期限がある手続きを先に進めたいけど、集める書類が分からない」
など、お客様から多くのお悩みのご相談をいただきます。
相続において最もトラブルが発生しやすいのは「遺産相続」です。
遺産相続でトラブルとなるポイントは、実はほとんど決まっています。
それにもかかわらず遺産相続のトラブルが絶えないのは、そのポイントをスムーズに処理するための専門知識が必要になるからです。
今回は、ご家族やご親族が亡くなった後に必要な手続きの流れや、相続手続きで知っておくべきポイントを紹介致します。
身近な親族が亡くなった後の手続きに流れ
詳しくは画像をクリック(拡大できます)
手続きの期限が定められているもの
健康保険の資格喪失届
会社員等の健康保険は亡くなってから5日以内、国民保険は14日以内
世帯主変更届
亡くなってから14日以内
相続放棄
相続放棄は、被相続人が亡くなった時から3か月以内に家庭裁判所に申立てをしなければなりません。
期限の2か月前には準備を始めないと間に合わなくなるので、もし相続放棄を検討している場合は、四十九日を待たずに手続きを進めるようにしましょう。
準確定申告
準確定申告は、法定相続人が被相続人の確定申告をすることです。
被相続人に所得がある場合は、亡くなってから4か月以内に申告をする必要があります。
相続税申告
相続税申告と納付の期限は、被相続人が亡くなってから10か月以内です。
相続登記
相続財産に不動産が含まれている場合、これまでは相続登記(不動産の名義変更)が義務ではなく、従って期限もありませんでした。
しかし法改正によって、2024年4月1日以降は相続登記が義務化されることとなりました。相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記をしなかった場合には10万円以下の過料の対象となります。
ポイントは、法改正後に発生した相続だけでなく、法改正前から相続登記をしていない不動産についても対象となることです。
また期限は決まってはいないものの早めに終えた方がよい手続きが、預貯金の相続手続き(金融口座の解約、名義変更)です。
被相続人の預金は、相続人の共有財産です。遺言書による指定がない場合は遺産分割協議で誰が預金を相続するかを決め、相続する人が金融機関で手続きをします。
手続きをしないままで預金を相続した人(Aさんとします)が亡くなると、預金はAさんの相続人の共有財産となり、再び遺産分割協議が必要となります。
また相続手続きをしないで10年放置すると「休眠口座」となり、預金は「預金保険機構」へ移されて公益活動に使われる可能性があります。
相続手続きを行う目安とは
初七日後
初七日が終わって少し落ち着いてから、公共料金などの名義変更・解約手続き、年金・生命保険関係の手続きを行う
亡くなってから2か月後
遺産を引き継ぐための手続きに必要となる相続人・相続財産の調査を終了させる。
亡くなってから半年~8か月後
遺産分割協議を終了させる。特に、相続税が発生する方は、亡くなってから10ヵ月以内に相続税申告をする必要があるため、余裕を持って遺産分割協議を進めましょう。
上記は、あくまで目安のスケジュールです。個々の事情によっては優先しなければいけない手続きがある場合もあります。
手続きの進め方について不安な方や期限が迫っている方は一度相続の専門家へ相談することをおすすめします。
亡くなった後に必ずしなければいけない手続きとは?
ご家族やご親族が亡くなった後は「相続手続き」が必要です。
「相続」とは、人が死亡したのちに、その故人(被相続人とも言います)の財産を、ご家族やご親族である相続人が引き継ぐことをいいます。
相続の手続きは「手間がかかる」、「専門家でないと難しい」というものが非常に多く、手続きをする機関として、税務署、法務局、金融機関などばらばらで、提出書類も多いというのが特徴です。
細かいものまで含めると相続手続きは100種類を超えます。
この膨大な量をご自身だけで滞りなく終えることは、非常に難しいことは何となくお分かりになるかと思います。
相続の開始(被相続人の死亡)
被相続人:財産を残して亡くなった方
相続人:亡くなられた方の財産を受け継ぐ方
遺言書の有無の確認・相続人の調査・相続財産の把握
遺言書の有無の確認
遺言書の有無を確認する方法は3通りあります。
①公証役場で検索(確認)する。
②自宅など保管されていそうな場所を探す。
③法務局で検索(確認)する(自筆証書遺言の保管制度利用の場合)
相続方法の決定
それぞれの財産についてプラスかマイナスか調査し、その財産が相続人にとって必要か不要かを判断していただきます。
その判断ができたら、次に相続するかどうかを決めます。
相続の方法は次の3つしかありません。
1.相続財産を単純承認する
すべての相続財産をそのまま相続する選択です。
このまま具体的な相続手続きに進みます。
2.相続財産を放棄する
何も受け継がない選択で、これを相続放棄と呼びます。
マイナスの財産の方が多いときに、よく選択される方法です。
相続が開始したことを知った日から3ヶ月以内に、家庭裁判所に対して相続放棄の申立をします。
3.相続財産を限定承認する
被相続人のプラスの財産、マイナスの財産がどの程度あるか不明である場合等に、プラスの財産の限度でマイナスの財産を受け継ぐ選択です。結果的にマイナスの財産よりプラスの財産のほうが多かった場合、財産はそのまま引き継げます。
相続が開始されたことを知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に対して限定承認の申立をします。
一見この手続なら安心に思われますが、共同相続人全員が共同して申し立てなければならず、一人でも単純承認した相続人がいると申し立てが出来ないため、実際には困難を伴うこともあるようです。
なお、相続財産の使い込みや隠匿も単純承認とみなされますので、後から共同相続人の一人が財産をごまかしていたことがわかると大変なことになります。
単純承認をした場合、次のステップとして相続放棄をしなかった相続人の間で財産の分け方を決める話し合いをします。
相続財産の調査の結果、マイナスの財産の方が大きい場合は相続放棄が可能です。
遺言書の有無によって手続きの方法が異なります!
遺言書がある場合
・遺言書の検認(家庭裁判所での手続きが必要)
遺言書の検認とは、遺言書の発見者や保管者が家庭裁判所に遺言書を提出して相続人などの立会いのもとで、遺言書を開封し、遺言書の内容を確認することです。
そうすることで相続人に対して、確かに遺言はあったんだと遺言書の存在を明確にして偽造されることを防ぐための手続きです。
そして、遺言書の検認手続きはかならず必要というわけではありません。
家庭裁判所での検認が必要なのは、自筆証書遺言と秘密証書遺言になります。
公正証書遺言については、公証人が作成しているので、改ざんや偽造される可能性はないということで検認手続きをする必要はありません。
遺言書がない場合
遺産分割協議(相続人全員での協議が必要)を相続人全員と行う必要があります。
遺言書や遺産分割協議書の内容に従って不動産や預貯金の名義変更の手続きを行う
相続登記(不動産の名義変更)
被相続人名義の不動産がある場合は、遺産分割協議によって決めた相続法法によって不動産の名義変更を行う必要があります。
預貯金や株式の解約・名義変更
不動産の名義変更と同様に銀行口座や証券なども名義変更を行う必要があります。
相続財産が一定額を超える場合は相続税申告が必要
相続税の申告・納付(必要な場合は10ヵ月以内)
相続税申告は相続発生後から10か月以内に行う必要がありますので、期限内に手続きを済ませる必要があります。
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