地蔵堂を建立するために町内の方々で共同出資し購入した土地を相続手続きをしたケース
状況
自治会長を務めている方から、土地の整理についてのご相談でした。
当該土地は、江戸時代頃から祀られている地蔵尊があり、地蔵堂を建立するため明治時代に町内の方々で共同出資し購入した土地です。
自治会の有志で保存団体を結成し(権利能力なき社団)、除草などの管理を行ってきましたが、高齢化が進み、管理運営が困難となったため廃仏したので、土地の整理を行いたいという内容でした。
当事務所からのご提案とお手伝い
当該土地の所有者は、38名の共有名義となっていたため、まずは相続人調査を行ったところ、300名弱の相続人が判明いたしました。
通常の手続き(相続人全員からの遺産分割協議証明書及び印鑑証明書が必要)では、費用・時間を考慮して現実的には難しいので、時効取得を原因とする裁判で判決を取得し、社団代表者の個人名義にする方法をご提案いたしました。
また、所有者の戸籍などを辿っても相続人の居所が判明しなかった方が十数名おりましたので、家庭裁判所に不在者財産管理人選任の申立てを行い、弁護士が選任されました。
結果
当職のサポートにより、相続人300名弱及び不在者財産管理人弁護士に対し、時効取得を原因とする本人訴訟を提起いたしました。
300名の中には住民票等の住所地に居住しておらず住所不定の方がおり、訴状を送達することが出来ないため、現地調査ののち公示送達手続きを行いました。
また、訴訟提起後に死亡した方の追跡調査や、意思疎通の難しい方には特別代理人の申立てを行い、無事に判決を取り、社団代表者の個人名義(相談者)に変更することが出来ました。
その後、売買に進み、希望買主が金額の提示をしてこられましたが、弊所と提携している不動産会社に査定を依頼したところ、希望買主が提示してきた金額より高額であることが分かり、査定額に近い金額で売買をすることが出来ました。
また、本件は権利なき社団ということもあり、土地を売買したことによる譲渡所得税は発生しませんでした。